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心悸亢進(動悸)や不整脈と漢方
前回は心臓神経症としての動悸の説明でしたが、今回は甲状腺機能亢進症や貧血、慢性疲労(漢方では虚労)による動悸を取り上げます。
古くから脈の結滞や不整脈に使用されている漢方薬に『炙甘草湯』という処方があります。
この処方が記載されている原点は有名な『傷寒雑病論』で、その条文を大体の日本語に約すと次のように書いてあります。

●『傷寒、脈結滞、心動悸するは、炙甘草湯之を主る』

●『虚労不足、汗出でて悶し、脈結、心悸するを治す。行動常の如きは、百日を出でずして危うく、急なるものは十一日にして死す。』

●『肺萎涎唾多く、心中温温液液(胸に何か詰まったようでうんうんと吐き出したいがうまくいかなく気持ち悪い様子)たるものを治す。』

現代的にこの漢方薬の向くタイプの説明すると、
●栄養が衰えがちで、胸(肺)の乾燥感が強く、皮膚も乾燥しがちで、疲れやすく、手足の煩熱(手足の裏が煩わしいほどにほてる)、口渇き、大便はどちらかというと便秘がち、息つきが熱く、顔面のぼせや汗をかきやすい。その上で心悸亢進、あるいは脈の結滞、不整脈と息切れなどを訴える人に向いている。

少なくとも胃腸が弱い、下痢しやすい人には不適ですね。
甲状腺機能亢進症(バセドー病)や心臓病としての心悸亢進症、不整脈に使用される事があります。
この『炙甘草湯』以外にも、神経症があるようなら『柴胡加竜骨牡蛎湯』、『桂枝加竜骨牡蛎湯』、『抑肝散あるいはその加味方』、よくお腹が張ったり、お腹が痛くなるタイプには『小建中湯』などが、そして貧血などで動悸する場合は連珠飲や苓桂朮甘湯などもよく使用される処方です。
いずれにせよ、漢方の専門家によく相談する必要があります。
(今回は、珍しく漢方の処方名を書きました。ご自分で選ぶより、なるべくご相談ください)

1997年7月分
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