| 最近よく目に付く新しい病名に『パニック障害』というものがあります。
どんなものかと言うと、突然強い不安感とともに、激しい動悸や逆上感、吐き気、息切れ、めまい、頭痛などに襲われたりします。この発作は救急車のお世話になるほどのものがあります。さらにこの発作が時々起こるようになり、いつなんどき起こるか予測できないため、いつも不安におびえるようになってしまいます。電車、車、エレベーター等では不安感が特に強くなる事多いようで、次第に自宅を離れる事すら恐怖を覚えるようになる人もいるようです。もちろんこれは決まりきった症状ではなく人それぞれ違っているものですが…。
さてこのような症状に対して漢方ではどのような考えがあるのでしょうか?
《金匱要略》という漢方の古典医学書に奔豚気病(ほんとんきびょう)という病気について書かれています。
チョッと難しいですが原文を書いてみましょう。
『奔豚病従少腹起、上衝咽喉、発作欲死、復還止、皆従驚恐得之』
訳しますと、奔豚というのは下腹部で気が突き上がるような痛みを感じ、続いてその気が下腹部から心臓部ないし喉元へ上ってくるのを感じます。このとき患者は相当に苦しむ(死んでしまうのではないかと思うくらいに!)が、しだいに突き上げてくる気がおさまれば症状も徐々におさまり平静になる。この原因は驚き恐れる事 (精神的ショックなど)によって起こるという具合になります。この文章の中で、死んでしまうのではないかと思うぐらいに苦しむが、発作がおさまれば平静に戻ると言う点が『パニック障害』という現代の病気に非常に類似していると思います。現実にこのような考えから漢方を応用して良くなっている人たちがおられますので、この奔豚気病もパニック障害の一つの形ではないかと思われます。余談になりますが『奔豚』は豚が駆け走るという意味で、下腹から上に向かってドッドッドッと気が突き上げてくるのを表現していると言われています。
何となくかわいい感じがするのですが、パニック障害の人にとってはとんでもない『憎たらしい豚』という事になるでしょう。
お困りの方は一度漢方薬をお試しください。
2001年2月分 |